4. バックカントリー
自力で山を登り、整備されていない自然の斜面を滑り降りるバックカントリーは、
ゲレンデで滑るのとは違った楽しさがあります。
ただし、危険が伴うため「誰でも気軽に」というわけにはいきません。
しっかりと準備をしてからツアーに参加しましょう。
バックカントリーに必要な滑走レベル
一概には言えませんが、目安としては、
「どんなスキー場へ行っても、山の上から下まで転ばずに滑り降りることができる」
程度の滑走技術は必要になるでしょう。
地形に合わせてボードをコントロールできることが最低条件です。
また、道具をかついで、雪の中をハイクできるだけの体力も必要になります。
慣れていないと、30分もハイクしたら息が上がってしまうと思います。
バックカントリーでは、最低でも2~3時間はハイクすることになるので、
普段から歩く練習をしておきましょう。
バックカントリーに必要な道具
まず、スノーボードをする道具が必要ですが、よほど変なものでなければ、
普段使っているもので大丈夫です。
ただし、バインディングは、セットバックした方が滑りやすいでしょう。
バックカントリーのための道具としては、最低限、次のようなものが必要です。
スノーシュー | 雪の上を歩くためのもの(かんじき) |
ポール(ストック) | 雪山を登るときに杖として使う |
ビーコン | 電波を発信・受信する装置で、この電波で埋没者を探す |
ゾンデ(プローブ) | 雪に突き刺して、埋没者を捜すための棒 |
雪スコップ | 雪を掘る時に使う |
バックパック(ザック) | 飲み物、軽食、工具、防寒用具などを入れる |
バックパックは、スノーボードを固定できる専用のものを使います。
バックパック以外は、ガイドの人にレンタルを用意してもらうこともできますが、
何回も行くのであれば、しっかりと使い方を覚えるためにも、
自分のものを用意した方がいいでしょう。
これらの道具は、いつでも使えるようにメンテナンスしておきます。
特に、電池は使用前に必ず新品に交換しましょう。
寒いところでは、電池の消耗は早くなります。
この他にも、無線機やGPS、寝袋などが必要になる場合もありますが、
経験していく中で、自分のレベルに合わせて、必要なものをそろえていけばいいでしょう。
バックカントリーでは、すべての道具をかついで山を登るので、
できるだけ軽い方がハイクが楽になります。
当然、不要なものは持っていかないようにしましょう。
標高の高いところへ行く場合には、防寒対策も必要になります。
ガイドを頼む
バックカントリーは、ガイドを頼んで、ツアーに参加しましょう。
絶対に素人だけでは行かないでください。
ガイドは、地域ごとに専門の人がいるので、滑りたい山があるのであれば、
その山に精通しているガイドを頼みましょう。
滑りたい山が特に決まっていないのであれば、ガイドの団体などに相談して、
日程などでツアーを選ぶこともできます。
なお、ガイドの中には、スキー専門でやっているところもあるので、
スノーボードで参加できるかどうか、事前に確認しましょう。
バックカントリーのスケジュール
ツアーは、ガイドの人が、レベルに合わせてスケジュールを組みます。
最初は、日帰りで、2~3時間ハイクして滑り降りるようなツアーがいいでしょう。
当日の天候や積雪量によっては、予定されていたツアーが中止になる場合もあります。
天候が悪ければ遭難する可能性が高くなりますし、
雪が積りすぎれば雪崩になる危険性が高くなります。
中止かどうかの判断は、当日にならないとわからないことも多いので、
とりあえず、集合場所まで出向きましょう。
また、ツアーは、少人数(4~5人程度)で組まれています。
大人数で同じ場所を滑ると、雪崩になる危険があるためです。
バックカントリーで気を付けること
山に入ったら、ガイドの指示は絶対です。
バックカントリーでは、危険を察知し、的確な判断をしなければならないため、知識や経験が重要になります。
はじめてバックカントリーへ行く人は、どんなに滑ることがうまくても、
初心者であることを忘れないようにしましょう。
また、頻繁に立ち止まらないようにしましょう。
ガイドの人からも注意があると思いますが、雪崩が起きる危険性が高くなります。
一度滑り出したら、ガイドの人から指示した場所までは、滑り続けなければなりません。
なお、止まる場合は、すでに止まっている人の山側(上方)に止まらないようにします。
もし、雪崩れてしまうと、谷側にいる人を全員巻き込んでしまうためです。
通常は、ガイドの人が先に止まって待っているので、
必ず、自分が谷側(下方)に止まるようにしましょう。
バックカントリーの情報
インターネットなどで調べていても、バックカントリーについての情報が少ないと思った人もいると思います。
特に、滑っている写真や動画は、あまり公開されていません。
これは、バックカントリーをする人の数が少ないということもありますが、意図的に公開しないようにしているためです。
滑っている写真などを公開して、場所が特定されてしまうと、勝手に山には入ってしまう人が出てきます。
もし、遭難などの事故が発生すると、
二度とそのエリアで滑ることができなくなってしまいます。
そのため、場所が特定できるような情報は、ほとんど公開されないのです。
ガイドの人は、雪の無い時期から山には入り、地形をチェックして、
できるだけ安全に滑ることのできる場所を選んで案内しています。
バックカントリーは、
かならず、ガイドを頼んでください。